世界中の推理小説に登場する名探偵たちを紹介します! 世界の名探偵たち

世界の名探偵について

名探偵といわれて思い浮かべるのはどんな人物ですか?鹿撃ち帽を被ってパイプを咥えたイギリス人でしょうか。それとも闇の組織に薬を飲まされて体が縮んだ少年でしょうか。世界には名探偵といわれる人物が溢れています。その中でも本当に本物の名探偵を紹介していこうと思います。

名探偵とは

名探偵はミステリー小説などに登場する人物で、手に入れたわずかな情報や証拠をもとに推理を行い、真実を探り出し、事件を解決に導いてくれる人たちです。「探偵」となっていますが、その職業は必ずしも探偵であるわけではなく、刑事だったり科学者だったり高校生だったりネコだったりと様々です。科学的に捜査をし、理詰めで犯人を追い詰めていく名探偵や、足で稼いだ情報と人脈から得た証拠を元に、犯人の情に訴えて解決に導く名探偵など、その性格も三者三様です。

名探偵の歴史

「名探偵」と呼ばれる人物を初めて生み出したのは「アッシャー家の崩壊」などで知られるアメリカの小説家、エドガー・アラン・ポーでした。1841年にポーが発表した「モルグ街の殺人」が史上初の推理小説とされており、天才的な探偵と平凡な語り手のコントラストや、結末近くでの推理の披露、意外な犯人などその後の推理小説の原型となるストーリーの流れはこのときにポーが確立したものです。パリの架空の土地モルグ街で猟奇殺人事件が起こり、犠牲者の母娘はむごたらしい殺され方をされていて、しかも事件現場となった部屋は密室。建物から漏れ聞こえていた犯人とおぼしき人物の声を複数の人が聞いていて、しかし証言者はこぞって自分の母国語以外をしゃべっていたと証言し謎は深まっていくというストーリーになっています。この小説に登場する素人探偵、C・オーギュスト・デュパンが世界で初めての「名探偵」といわれています。デュパンが初登場してから40数年後には、アーサー・コナン・ドイルが「シャーロック・ホームズ」を生み出していて、ホームズは「名探偵」という存在を一般化し、その後ミステリー界には数多くの名探偵が生まれています。

名探偵の生みの親

「名探偵」という概念を生み出したエドガー・アラン・ポーは1809年1月19日にアメリカ合衆国マサチューセッツ州ボストンに生まれました。生まれた直後に両親を失っており、商人アラン家に引き取られてロンドンで幼少期を過ごしました。雑誌の編集者として勤めながら小説を書き、1835年「メッツェンガーシュタイン」でデビューしました。その後「アッシャー家の崩壊」「黒猫」などの恐怖小説や初の推理小説といわれている「モルグ街の殺人」などを発表し評判をとりました。ポーはアメリカ合衆国で文筆だけで生計を立てようとした最初の著名な作家でもありましたが、有名になってからもその生活は常に貧窮していたそうです。1833年には、当時まだ13歳だった従妹のヴァージニア・クレムと結婚しますが、1847年に結核で彼女を失い、自身もその2年後の1849年10月7日に40歳の若さでこの世を去っています。アメリカよりもヨーロッパでの評価が高く、フランス象徴派の文学やジュール・ヴェルヌなどのSF作家に大きな影響を与えた人物とされています。

世界で最初の名探偵

「モルグ街の殺人」に登場するC・オーギュスト・デュパンは、世界で最初の名探偵といわれています。彼は、フランスの名門貴族でしたが、不幸な事件によって財産をなくし、パリ郊外サン・ジェルマンの辺鄙で淋しいところに一人で住んでいました。彼の趣味は読書で、書物だけが唯一の贅沢品としていて、昼は戸を閉め切った真っ暗な部屋で強い香料入りの蝋燭に火をつけ、読書と瞑想にふけり、夜はパリの街を徘徊して大都会の闇と影を愛するという変わり者でした。ある日デュパンは、モンマルトルの図書館でこの物語の語り手である「私」と知り合います。「私」はデュパンの卓越した想像力にほれ込み、二人は交友を深めていきます。やがて「私」はサン・ジェルマンに建つデュパンの屋敷に滞在するようになり、彼の抜群の観察力と分析力を知ります。デュパンは視線の動きや起こった出来事を元にして、「私」がそのとき考えていていたことをずばり当ててしまうのでした。デュパンは警視総監である「G」という人物と知り合いで、G氏は解決できない事件の調査をしばしばデュパンに依頼してくるのでした。デュパンはその鋭い観察力で事件を見事解決に導きます。第二作である「マリー・ロジェの謎」では新聞に掲載された記事のみを頼りに事件の真相を推理しているため、安楽椅子探偵の元祖ともいわれています。

ポーが残したもの

エドガー・アラン・ポーは推理小説・探偵小説の基礎を「モルグ街の殺人」で築きあげました。そのペンネームをポーから取っている江戸川乱歩は、もしポーが探偵小説を発明していなければおそらくドイルは生まれなかっただろうし、したがってチェスタトンもなく、その後の優れた作家たちも探偵小説を書かなかっただろうと述べています。「モルグ街の殺人」は、名探偵の人物像を初めとして、推理小説における様々な約束事を作り出しています。まずポーの創造した「天才的な探偵」という役柄は、以後の推理小説で必ずといっていいほど用いられていて、クロフツが「平凡探偵」を打ち出して例外を作るまでに80年の歳月がかかりました。また、名探偵とその活躍を語る平凡な人物という組み合わせは、コナン・ドイルがシャーロックホームズとワトソンの形で踏襲したのをはじめ、天才的な探偵が登場する作品には欠かせないものとなりました。名探偵の引き立て役として警察が愚鈍なものとして描かれる、という約束事もこの作品ですでに現れています。そして「出発点の怪奇性」と「結末の意外性」という法則や、謎の解決のためのデータを真相までの間に読者に提示しておく「挑戦」の原則、密室をはじめとする不可能犯罪とそれを可能にする「トリック」、推理を最終場面で一括して披露する形式、また作品全体に通呈する衒学趣味など、いずれも「モルグ街の殺人」で確立され、現代にいたるまで推理小説で繰り返し使われている手法です。

心に残る名探偵ランキング

2012年に朝日新聞が行なった「心に残る名探偵」のアンケート結果があります。

  • 第1位 コロンボ
  • 第2位 シャーロック・ホームズ
  • 第3位 金田一耕助
  • 第4位 明智小五郎
  • 第5位 エルキュール・ポワロ
  • 第6位 工藤新一
  • 第7位 杉下右京
  • 第8位 浅見光彦
  • 第9位 湯川学
  • 第10位 十津川省三
  • 第11位 ミス・マープル
  • 第12位 アルセーヌ・ルパン
  • 第13位 三毛猫ホームズ
  • 第14位 エラリー・クイーン
  • 第15位 ジェームズ・ボンド
  • 第16位 ペリー・メイスン
  • 第17位 鮫島刑事
  • 第18位 ジェシカおばさん
  • 第19位 岡っ引き半七
  • 第20位 ケイ・スカーペッタ

真の名探偵は小説家

私たちは小説家が複雑に絡ませた物語を読んで、それを一本一本解いてくれる名探偵たちにあこがれます。彼らの洞察力と推理力にただただため息をつくばかりです。しかし本当にすごいのはそれを生み出している小説家たちです。エドガー・アラン・ポーは「モルグ街の殺人」が高評価を得たときに、こんな言葉を残しています。「これらの推理物語は、その人気の大半をそれが目新しい形式であるということに負っています。私はこれらに巧妙さがないと言いたいのではありません。しかし、読者はこれらの作品が実際にそうである以上に巧妙だと考えているのです―これらの作品の取っている手法と、その手法の見せかけのために。例えば「モルグ街の殺人」ですが、いったいこの中で絡み合った糸を解きほぐす手つきのどこに巧妙さがあるでしょうか・・・この糸は明白に、解きほぐされることを意識して絡み合わされているというのに」。ポーは自分が書いた小説の評価を非常に低くつけていたのですね。それが解きほぐすことを意識して書かれたものだったからでしょうか。でも、たとえ最初からトリックや犯人が決まっていて、それにあわせて小説を書こうと思っても素人には絶対にかけませんし、最初の推理小説である「モルグ街の殺人」がすでに、推理小説の基礎となる部分の大半を確立してしまっているというのが驚きです。短編小説にも関わらず、「推理小説」「名探偵」というジャンルを完成させてしまっているのですからすごいですよね。逆に言えばこのジャンルはポーの時代からほとんど進化していないということにもなりますが、それほどポーが確立したものが完璧だったということでしょう。エドガー・アラン・ポーこそ、真の名探偵なのではないでしょうか。

世界の名探偵たち

世界の名探偵

推理してみましょう